営業活動で成果を上げるには、単に商談数を増やすだけでは不十分です。誰に、どのような手法で、どんなタイミングで働きかけるかによって、成約率は大きく変わってきます。重要なのは、見込み客との最初の接点である“アプローチ”の質です。
本記事では、新規と既存の顧客それぞれに適したアプローチ手法を解説しつつ、成果を高めるための実践的なポイントや事前準備の重要性についても触れていきます。
営業活動に行き詰まりを感じている方や、効率的に成果を出したいと考える方にとって、実務に役立つヒントが得られる内容となっています。
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目次
営業におけるアプローチとは

営業アプローチとは、見込み顧客に対して最初の接点をつくる活動を指し、商談の入口として非常に重要な役割を果たします。単に情報を届ける行為ではなく、相手に関心を持ってもらい、対話のきっかけを生み出す働きかけが求められます。
電話やメール、訪問など方法は多岐にわたりますが、共通して重要なのは「誰に」「どのように」アプローチするかを戦略的に考えることです。むやみに数を打つのではなく、顧客のニーズや業界特性を踏まえた上で接点を持つことで、受注につながる確率も高まります。
また、第一印象がその後の関係性を左右するため、準備や対応の質にも細心の注意が必要です。初動の精度が営業全体の成果を左右するといえるでしょう。
営業アプローチを成功させるためのポイントと流れ

効果的な営業アプローチを行うには、段階的な準備と戦略的な実行が欠かせません。以下では、成功に直結する3つのプロセスを順にご紹介します。
1.ターゲットを決める
営業活動において成果を上げるには、まず誰にアプローチするかを明確に定める必要があります。ターゲット選定が曖昧なままでは、提案の内容や接触方法がブレやすくなり、成約の可能性も低くなってしまいます。
業種や業界だけでなく、企業規模や地域、さらには課題やニーズの傾向など、多角的に条件を絞り込む視点が求められます。自社のサービスと親和性の高い層を見極めることが、営業効率を大きく左右するといえるでしょう。
対象を適切に設定することで、その後のフェーズでも一貫したアプローチを組み立てやすくなります。
2.ペルソナを設定する
次に行うべきは、選定したターゲット層の中から代表的な顧客像を詳細に描き出す作業です。属性情報にとどまらず、関心を抱くテーマや抱える悩み、意思決定の背景にある思考などを深掘りすることで、具体性のある訴求が可能になります。
ペルソナの精度が高まるほど、相手に響く言葉や提案の角度も洗練されていきます。見込み客との対話においても、ニーズの把握が的確になり、関係性の構築がスムーズに進むはずです。成果を求めるならば、抽象的な想定ではなく、実在するかのような人物像に落とし込むことが大切です。
ペルソナについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ペルソナ設定とは?重要性やメリット、設定方法や注意点
3.アプローチ手法を決める
ターゲットとペルソナが明らかになったら、最適なアプローチ方法を選定します。電話やメール、訪問といった伝統的な手段に加え、オンラインセミナーやSNSの活用など、現代の営業活動では手法の幅が広がっています。
手段の選定では、接点の持ちやすさや顧客の情報収集行動を意識することが重要です。たとえば、忙しい管理職には短時間で要点が伝わる手法が好まれやすく、若年層にはデジタルチャネルが有効なケースもあります。
状況に応じて使い分け、複数のチャネルを組み合わせる柔軟性が求められます。
【新規顧客向け】アプローチ手法8選

新しい顧客との接点を築くには、状況に応じた多様なアプローチ手段を使い分けることが重要です。ここでは代表的な8つの手法を具体的に紹介します。
手法名 | 特徴・ポイント |
テレアポ | 電話で直接アプローチできる即効性の高い手法 トークスクリプトや時間帯選びが成果に影響する |
メール営業 | 相手の都合に合わせて情報提供が可能 パーソナライズや件名の工夫で開封率と反応率を高められる |
問い合わせフォーム営業 | 企業の公式窓口に直接メッセージを送る方法 定型文の制限内で簡潔かつ明確な訴求が求められる |
セミナー | オンライン・オフライン問わず、商材理解と信頼構築が同時に図れる 開催後のフォローアップが重要 |
飛び込み営業 | 突然の訪問で現場の雰囲気をつかみやすい反面、拒否リスクも高い 第一印象と柔軟な対応力が重要 |
展示会 | 業界全体に広く接点を持てる機会 ブース設計や接客の工夫で、リード獲得と競合分析の場として活用できる |
取引先からの紹介 | 信頼のある第三者からの推薦により、初回から心理的ハードルが低い 紹介者への配慮も成功の要因 |
SNS | 自社の姿勢や知見を継続的に発信して信頼感を醸成 直接的な売り込みではなく交流から関係構築を目指す |
1.テレアポ
電話によるアポイント獲得は、営業活動における基本のひとつです。短時間で担当者と接点を持てるため、商談へのステップにつなげやすい点が特徴です。
ただし、事前に相手企業の情報を収集しておかないと、会話がかみ合わず不信感を招くおそれもあります。話す内容やトークスクリプトの準備だけでなく、相手が電話を取りやすい時間帯を見極めることも成果に直結するので、注意が必要です。
継続的に実施するなかで成功パターンを蓄積し、内容の精度を上げていく姿勢が求められます。
2.メール営業
文章で伝える営業手法は、相手の都合に左右されにくいという利点があります。件名で関心を引き、本文では課題への共感や自社の強みを的確に伝える工夫が不可欠です。
無作為な送信では読まれないことが多く、開封率や反応率を高めるためには、パーソナライズされた内容が重要となります。件数を重視するよりも、相手にとって価値ある提案を意識した発信が重要です。
送信後は反応の有無を確認し、改善ポイントを洗い出すことで次回の精度も高まっていきます。
3.問い合わせフォーム営業
企業の公式サイトに設置された問い合わせフォームを通じて、メッセージを届ける方法も有効です。メールと似た特性を持ちますが、先方が問い合わせを受け取る意思を示しているぶん、スパム扱いされにくい点が強みです。
ただし、文字数制限や記入フォーマットの違いがあるため、短い文章で要点を明確に伝える構成力が問われます。事前に企業ごとの特徴を把握し、それに合わせた訴求軸を調整することが反応を得るポイントになります。
4.セミナー
見込み客との関係構築において、セミナーの開催は非常に効果的な施策のひとつです。自社サービスへの理解を深めてもらう機会であると同時に、参加者の課題意識や関心領域を把握するきっかけにもなります。
オンラインであれば遠方の企業にもリーチでき、参加のハードルも下がります。講師の話し方や資料構成にも説得力が求められるため、準備段階から入念に設計することが重要です。終了後のフォローによって商談につなげる動きも忘れてはなりません。
5.飛び込み営業
事前の連絡なしに企業へ直接訪問する手法は、現場の空気感を感じながら即座に対応できる点がメリットです。相手が予期していない状況での訪問となるため、第一印象の良さや話し方の工夫が特に重要になります。
門前払いを受けることも多く、精神的な負担がかかる手法ではありますが、現場での反応を肌で感じる経験は他の手段では得られない学びになります。実践を通して柔軟性や対応力を磨ける点もこの手法の強みといえるでしょう。
6.展示会
業界ごとの展示会や見本市に出展することで、潜在顧客と自然な形で接点を持てます。自社の製品やサービスを視覚的に伝えやすく、実演を交えた提案も可能なため、納得感を持ってもらいやすくなります。
名刺交換や資料配布を通じて見込み客リストを構築できるだけでなく、競合の動向を把握する場としても有効です。ブースのデザインや接客態度、話しかけ方など、細部の工夫が来場者の関心を左右するため、事前準備が成果を左右します。
7.取引先からの紹介
信頼性のあるつながりからの紹介は、初回接触時点での心理的ハードルを大幅に下げられる方法です。紹介元との関係性が構築できていれば、その推薦が商談への後押しになります。
紹介先に失礼がないよう、事前に適切な説明を行い、対応内容も慎重に設計しておくことが肝心です。自社の価値を正しく伝えてもらうためには、紹介依頼時に要点を端的にまとめた資料などを用意しておくと安心です。
成果に直結しやすい一方、信頼の積み重ねが前提となる手法といえます。
8.SNS
近年では、ビジネスにおいてもSNSを活用した営業手法が注目されています。X(旧Twitter)やLinkedInなどを通じて、自社の取り組みや価値観を発信することで、潜在的な興味を持つ層との接点が生まれます。
すぐに成果が出る手法ではありませんが、継続的な投稿によって専門性や信頼感を醸成できる点が魅力です。コメントやダイレクトメッセージをきっかけとした会話が、商談につながるケースもあります。他のチャネルと組み合わせることで相乗効果も期待できます。
【既存顧客向け】アプローチ手法3選

すでに関係性がある顧客には、信頼を損なわずに継続的な接点を保つことが重要です。ここでは、既存顧客に対して有効なアプローチ方法を3つご紹介します。
手法名 | 特徴・ポイント |
オンラインを含む定期訪問 | 対面とオンラインを組み合わせて効率的に関係を維持 業務状況や課題をヒアリングし、信頼構築につなげる |
メールでの定期連絡 | 手軽に接点を継続できる手段 業界情報やサービス案内など相手の関心に合った内容で関係を深める工夫が必要 |
提供製品の定期点検 | アフターサポートとして安心感を提供 トラブル予防だけでなく、新たなニーズ発掘や追加提案の機会も得られる |
1.オンラインを含む定期訪問
顧客との関係を維持・強化するためには、定期的な訪問が効果的です。
対面だけでなくオンラインでの面談も選択肢に加えることで、物理的な距離や移動時間の課題を解消できます。商談や打ち合わせに限らず、日々の業務状況や今後の課題をヒアリングする場として活用すれば、信頼関係の深化にもつながります。
また、定期訪問のなかで得られる情報は、新たな提案や商品改善のヒントになることも多く、顧客との長期的な関係づくりにおいて欠かせないアプローチです。
2.メールでの定期連絡
手軽にコミュニケーションを継続できる手段として、メールによる定期的な連絡は有効です。
ただし、内容に工夫がなければ読まれずに終わってしまう可能性もあるため、情報の鮮度や相手の興味に合った話題を意識することが重要です。たとえば業界動向の共有や自社の新サービスの案内、成功事例の紹介などは関心を引きやすく、自然な形で次の会話へとつなげるきっかけになります。
一方通行にならないよう、返信しやすい内容や問いかけを添える配慮も成果に直結します。
3.提供製品の定期点検
商品やサービスの品質維持を目的とした定期点検は、アフターサポートの一環として非常に効果的です。顧客にとっては安心感を得られるだけでなく、予期せぬトラブルの未然防止にもつながります。
また、点検の際に新たなニーズを聞き取ることができれば、追加提案やアップセルの機会としても活かせます。定期点検という名目で自然な形で訪問できるため、営業色が強すぎず、相手に負担を与えない点も利点です。
小さな積み重ねが信頼関係の継続に大きく貢献します。
効果的なアプローチが営業成果を左右する

狙いを定めたアプローチを行うには、事前準備や外部支援の活用が欠かせません。ここでは、成果につながる土台作りとして重要な2つの視点を紹介します。
情報収集と営業リストの重要性
アプローチの質を高めるには、見込み客の情報をどれだけ的確に把握できるかが問われます。
企業名や業種だけでなく、担当者の役職や導入状況など、詳細なデータがそろっていれば、訴求の切り口を明確にできます。データを整理してまとめたものが営業リストです。
このリストは単なる住所録ではなく、アプローチの方向性を定める設計図ともいえます。精度が高いほど、無駄な接触を減らし、効果的な対話につなげやすくなります。手元の情報を丁寧に整備する作業が、成果への第一歩となるでしょう。
営業支援会社の活用もおすすめ
自社だけで営業活動を進めるには、時間や人手に限界が生じることがあります。
そうした場面では、営業支援を専門に行う外部企業の力を借りる選択肢も有効です。リスト作成からアポイント獲得、さらにはアフターフォローまで幅広く対応できるサービスが増えており、社内の負担を軽減しながら効率的な展開が可能になります。
とくに新規開拓に課題を感じている場合は、客観的な視点とノウハウを持つ支援会社の関与が大きな推進力になるはずです。必要な部分にだけ限定して依頼できる点も魅力です。
営業支援会社のおすすめについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
営業支援会社おすすめ5選!費用相場やメリットも解説
まとめ
営業アプローチは、成約への入り口であり、営業活動全体の流れを左右する重要なプロセスです。ターゲットの設定や手法の選定、情報の精査を丁寧に行うことで、より精度の高いアプローチが可能になります。
また、新規顧客への接点だけでなく、既存顧客との継続的な関係維持にも有効な方法が多数存在します。限られた時間と人員のなかで成果を最大化するには、社内リソースの見直しや、営業支援の導入を視野に入れることもひとつの選択肢です。
本記事の内容を参考に、より実践的な営業活動へとつなげていきましょう。
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