営業活動において目標の設定は、成果に直結する重要なステップです。適切な目標があることで、方向性が定まり、個人のモチベーション向上やチームの結束力強化につながります。
しかし、実際には何から着手すればよいのか悩む方も多いでしょう。本記事では、営業目標設定の意義や具体的な立て方、現場で役立つフレームワークや達成のポイントまでを詳しく紹介します。営業成績を高めたい方はぜひ参考にしてください。
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目次
営業の目標設定が重要な理由

営業活動において目標を持つことで得られるメリットは数多くあります。方向性の明確化やモチベーションの維持、チームワークの強化など、さまざまな視点から目標設定の重要性を見ていきましょう。次に挙げる5つの視点から理解を深めてください。
営業活動の方向性を明確にできる
営業活動では、目的をはっきりと定めることで進むべき道筋が見えやすくなります。最初にどのようなゴールを目指すのかを共有することで、個人やチーム全体の取り組みに一貫性が生まれます。
具体的な売上目標や顧客数などを設定しておくことで、業務の優先順位も決めやすくなるでしょう。方向性が明確であれば無駄な動きを減らせるだけでなく、短期間での成果も期待できます。営業の現場では、目の前のタスクが数多く並ぶ中で迷いやすいものです。
しかし、あらかじめ進むべき方向が定まっていれば、迷いを減らし着実に結果へつなげられるでしょう。目標は全体の行動指針となるため、計画的な営業活動の基盤となります。
チーム全体の足並みをそろえやすくなる
営業チームでは、全員が同じ目標を目指して活動することが重要です。それぞれが異なる方向を向いていては、効率が悪くなるばかりか、成果にもつながりにくくなります。共通の目標を掲げることで、個人間の認識を合わせ、相互に協力しやすい雰囲気が生まれます。
さらに、チーム内で進捗状況を共有する仕組みも整いやすくなり、メンバー同士が互いに刺激し合う環境を作れるでしょう。とくに大人数のチームにおいては、方針が統一されていないと成果のばらつきが大きくなりがちです。
共通の目標があれば、一体感が生まれ、組織としての強さが増します。営業チームの結束力を高めるためにも、具体的で共有可能な目標設定を心がけるべきです。
個人のモチベーションを維持しやすくなる
個人が日々の業務に向かううえで、目標の存在は大きな支えとなります。漠然とした業務を続けるよりも、達成すべき数値や期限が定まっている方が、目の前の仕事にやりがいを感じやすくなるでしょう。
さらに、目標達成のたびに得られる達成感や評価がモチベーションの維持につながります。営業職は成果が数字として表れる仕事であるため、目標がない状態では成長実感を持ちにくくなりがちです。
しかし、適切に設定された目標があると、自身の成長や成果を実感できる場面が増え、自己肯定感も高まります。自分の力で結果を出す喜びが得られるよう、個々の努力が正しく評価される目標を設定することが求められます。
成果を測定しやすくなる
営業活動の成果は、定量的に評価することが大切です。あらかじめ目標を数値で設定しておくことで、進捗や達成度合いを測定しやすくなります。具体的な指標があれば、業務の成果を客観的に確認でき、次の改善策も立てやすくなるでしょう。
さらに、測定可能な目標は、日々の業務の中でどれだけ進んでいるのかを可視化する役割も果たします。営業職は目の前の業務に忙殺されやすく、振り返りの時間を持たないことも多いですが、定期的に目標の達成度を確認することで成長の実感も得られます。数値目標が明確であれば、チーム全体の課題も浮かび上がりやすくなり、次の戦略も立てやすくなるため、営業活動全体の改善につながるでしょう。
成長につながるフィードバックが可能になる
営業活動を通じて成長を実感するためには、適切なフィードバックが欠かせません。目標が設定されていると、達成度に応じた具体的なアドバイスがしやすくなります。数字や行動に基づいて評価されるため、感覚的な指摘ではなく納得感のある助言を受けやすくなるでしょう。
さらに、定期的にフィードバックを行うことで、改善点が早期に見つかり、修正行動をとるスピードも高まります。営業は結果を積み上げていく仕事ですから、迅速なフィードバックがあることで継続的な成長が期待できます。フィードバックが具体的であればあるほど、次の行動に反映しやすくなり、目標達成の精度も高まるでしょう。成長を促す土台として、目標設定は重要な役割を果たします。
営業目標の立て方|具体的なステップ

営業目標を実際に立てる際には、いくつかの段階を踏む必要があります。現状把握からゴール設定、そして個人目標への落とし込みまで、一つずつ順を追うことで現実的で達成可能な目標が生まれます。以下の4つのステップを確認して実践してください。
現状分析から始める
営業目標を設定する前に、まず現状の状況をしっかりと把握することが重要です。これまでの実績や市場環境、競合の動向など、客観的なデータを集めることで現実的な基準が見えてきます。
過去の成績だけでなく、現在の課題や強み・弱みを洗い出す作業も欠かせません。現状分析を怠ると、達成不可能な目標や的外れな数値を掲げてしまい、チームの士気を下げる原因になります。
具体的な数値を確認しながら、現在のポジションを明確にすることで、どのくらいの成長を目指せるのか判断しやすくなるでしょう。冷静に現状を見つめることが、適切な目標設定への出発点となります。
チーム全体のゴールを決める
現状を把握したあとは、次にチーム全体としてのゴールを設定します。組織として目指すべき方向性や売上高などの数値を決定することで、個々の活動に統一感が生まれるでしょう。
全体目標を明確にすると、メンバー間で進むべき方向が一致し、無駄な動きを減らしやすくなります。ゴールを決める際は、経営目標や事業計画とも整合性をとることが大切です。
無理のない範囲でありながらも、成長を感じられる水準を設定することで、挑戦意欲をかき立てる目標になります。チームで共有しやすく、達成イメージが描きやすい目標を定めるように意識するとよいでしょう。
個人目標へ落とし込む
チーム全体のゴールが決まったら、それを個人単位の目標に具体化していきます。全体目標を細分化することで、各メンバーが自分の役割を認識しやすくなります。
個人目標は、メンバーのスキルや経験、担当エリアなどに応じて調整することが必要です。全員に同じ数値を課すのではなく、それぞれが達成可能な水準を設定することで、無理なく取り組めるでしょう。
個人の目標が適切に設定されていると、自己管理がしやすくなり、達成感も得やすくなります。チーム全体の成果を高めるためには、個々の力を引き出せる目標を丁寧に作り上げる姿勢が求められます。
数値と期限を明確にする
目標を設定する際には、必ず数値と期限を明確にしておくことが重要です。抽象的な表現では行動に移しにくく、進捗管理も困難になります。
たとえば「売上を増やす」ではなく「来月末までに〇〇万円の売上を達成する」といった具体的な表現にすることで、意識すべき行動が見えてきます。さらに、期限を設けることで緊張感が生まれ、計画的な行動につながるでしょう。
数値と期限が決まっている目標は、達成度を測りやすく、進捗を管理する際にも役立ちます。営業活動の中で優先順位を決めやすくなるため、日々の動きにもメリハリがつきます。曖昧さを排除した明確な目標が、成果への近道です。
営業目標の具体例

営業目標は、実際にどのような形で設定するかによって具体性や達成しやすさが変わります。売上や顧客数などの成果指標だけでなく、行動に紐づく目標も有効です。ここでは、代表的な4つの具体例を順に解説しますので参考にしてください。
売上目標の具体例
営業目標の代表格は、売上金額に関する数値です。具体的には下記が挙げられます。
- 半年で新規売上1,000万円を達成する
- 月末までに前月比110%の売上を実現する
上記のように目標額と期限を明示すると、日々の行動に必要な基準が見えやすくなります。売上目標を設定する際には、過去の実績や市場状況を踏まえたうえで、やや高めの水準に設定するとモチベーションも高まるでしょう。
無理な数字を掲げてしまうと、達成が遠のき逆効果になるため注意が必要です。売上の内訳まで意識して目標を立てると、提案の質も上がりやすくなります。成果に直結する目標として最も基本的な考え方ですので、ぜひ実践してください。
新規顧客獲得目標の具体例
売上金額だけでなく、新規顧客の獲得件数も重要な営業目標の一つです。たとえば「四半期内に新規顧客20社を開拓する」といった具体的な数値を定めると、アプローチ先の選定や提案内容も工夫しやすくなります。
新規開拓は既存顧客の深耕よりも難易度が高い場合が多く、営業力の強化にもつながる活動です。顧客リストの整備や見込み客へのアプローチ方法を見直しながら、効率的な獲得を目指しましょう。
チーム全体で分担しながら達成するスタイルも有効です。件数が具体的に決まっていれば、日々の行動量や必要な提案数も逆算しやすく、計画的に進められるでしょう。顧客基盤を広げる視点での目標として有効です。
クロスセル・アップセル目標の具体例
既存顧客に対して追加提案を行うクロスセルやアップセルの件数や売上を目標にする方法もあります。たとえば「既存顧客全体の平均単価を半年で20%向上させる」や「1件あたりの契約額を2万円増加させる」などが例です。
既存顧客への提案は、新規開拓よりも信頼関係を活かせるため、達成しやすい傾向があります。顧客のニーズを深掘りし、新たな価値を提案する姿勢が重要です。目標があることで提案の幅が広がり、既存顧客との関係強化にもつながるでしょう。
単価向上や契約更新率の向上は、安定した収益基盤の構築にも寄与します。売上の質を高める視点で設定すると効果的です。
アップセル・クロスセルについて、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
アップセル・クロスセルの目的や重要性|成功のポイントや実施のタイミング
行動目標(訪問数・提案数)の具体例
成果だけでなく、日々の行動に関する目標を設定することも非常に有効です。具体的には「1日あたり訪問件数10件を維持する」や「週に20件の新規提案を実施する」などが挙げられます。
行動目標は短期的に取り組めるため、達成感が得られやすく、モチベーションの維持に役立つでしょう。さらに、行動目標を積み重ねることで結果的に売上や顧客獲得につながります。数値の設定は現実的でありながらも、一定の挑戦が感じられる水準にするのが理想です。
行動量の増加は営業力の底上げにもなり、チーム全体の活性化にもつながるでしょう。まずは取り組みやすい行動目標から始めるのもおすすめです。
営業目標設定で役立つフレームワーク

営業目標を効果的に設定するためには、実績のあるフレームワークを活用するのが賢明です。SMARTやKGI・KPIなどの考え方を取り入れることで、目標が明確かつ実現可能なものになります。以下の4つのフレームワークを順番に確認しましょう。
SMARTの法則を活用する
SMARTの法則は、目標設定を行ううえで世界的に広く使われているフレームワークです。
- 具体性(Specific)
- 測定可能性(Measurable)
- 達成可能性(Achievable)
- 関連性(Relevant)
- 期限設定(Time-bound)
上記の5つの観点から目標を見直します。これに従うと、曖昧な表現を排除し、誰もが理解しやすい目標が作れます。
たとえば「売上を増やす」という漠然とした目標は「来月末までに新規顧客10社を獲得する」という形に変わります。各要素を満たすことで、進捗状況の把握や行動計画の立案が容易になり、達成の可能性が高まるでしょう。SMARTの視点で目標を精査してみることをおすすめします。
KGI・KPIで目標を数値化する
KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)は、目標を定量的に管理するためのフレームワークです。KGIは最終的なゴールを数値で定め、KPIはその達成に向けて必要な途中経過の指標を設定します。
たとえば「年間売上1億円」をKGIとし、「毎月の新規案件数」をKPIにするイメージです。KGIは達成するべき最終成果、KPIは日々の行動の目安として活用されます。結果、長期的な目標を持ちながらも短期的な行動計画を立てやすくなります。
KGIとKPIを組み合わせて設計することで、戦略的かつ効率的に営業活動を進められるでしょう。全体像と具体的行動を同時に意識するための手法です。
行動指標と成果指標を組み合わせる
目標設定の際には、成果を示す指標だけでなく、行動量に関する指標も組み合わせることが重要です。成果指標は売上や受注件数などの結果を示すものであり、行動指標は訪問件数や電話アプローチ数などの活動量を表します。
どちらか一方だけでは不十分であり、行動と成果の両面を意識することで、安定した成果を生み出しやすくなるでしょう。行動を積み重ねることで成果に結びつくため、過程の管理も不可欠です。
結果だけを追うと短期的な改善策に偏りがちですが、行動指標を設定すれば日々の改善につながります。バランスよく目標を組み立てることが、持続可能な営業活動の基盤となります。
達成可能性を高めるための工夫
営業目標を立てる際には、高すぎる目標は逆効果になる場合があります。したがって、達成可能性の高い目標にするための工夫も必要です。まずは現状分析を徹底し、過去のデータや市場環境に基づいた現実的な数値を設定します。
さらに、短期目標と中長期目標を併せて設け、段階的にステップアップできる設計にすると効果的です。達成するたびに自信を積み重ねられ、メンバーの意欲も維持されやすくなります。
加えて、定期的な見直しや柔軟な調整も取り入れることで、状況変化に対応しやすくなるでしょう。実現可能な目標こそが、成果につながる大切な要素になります。
営業目標を達成するために意識したいポイント

営業目標を設定するだけで満足せず、実際に達成するための工夫が必要です。日々の進捗管理やモチベーション維持、チーム全体での取り組みが重要なポイントとなります。ここでは、目標達成につなげるために押さえておくべき4つのポイントを解説します。
定期的に進捗確認を行う
営業目標は、計画通りに進んでいるかを定期的に確認することで達成に近づきます。開始時に立てた計画が適切かどうか、現状の進捗に問題がないかを定期的に把握することが重要です。
週次や月次でチェックを行う習慣を持つことで、軌道修正のタイミングも早くなります。進捗を確認しながら、達成度に応じて戦略や行動計画を柔軟に調整していきましょう。とくに予想外の事態が発生した場合は、迅速に対応策を検討する必要があります。
定期的な進捗管理は、チーム全体の意識を高める役割も果たします。計画からずれた部分を素早く見つけ、早期に修正することで、最終的な成果につながるのです。
フィードバックで軌道修正する
目標を達成するためには、単に行動量を増やすだけではなく、質の高いフィードバックが欠かせません。上司やチームメンバーから具体的な指摘や改善案を受けることで、自分では気づけなかった課題に気づくことができます。
フィードバックはできるだけタイムリーに行い、次のアクションにすぐ反映させることが大切です。定期的に実績を振り返り、達成度や課題を共有する場を設けると、メンバー間で学び合う文化が根づきやすくなるでしょう。
自分一人で解決するよりも、周囲からの視点を取り入れることで、より精度の高い営業活動が可能になります。フィードバックを活かして柔軟に軌道修正していきましょう。
モチベーション維持の工夫をする
営業活動は成果が出るまでに時間がかかることも多いため、途中でモチベーションを保てなくなるケースも少なくありません。したがって、目標達成の過程で小さな達成感を積み重ねる仕組みが役立ちます。
短期目標を設定して段階的にクリアする方法や、達成に応じてインセンティブや評価を設定する方法も効果的です。さらに、個々の成果をチーム内で称賛することで、全体の士気を高めることもできます。
やる気を維持できる環境を整えておくことで、継続的に高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。営業目標を達成するには、数字だけではなく心理的な支えも意識する必要があります。
モチベーション維持について、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
法人営業がきついと感じる理由と克服法|続ける価値ややりがいも詳しく解説
チーム内で共有し目標意識を高める
営業目標を個人で追うだけでなく、チーム全体で共有し、互いに刺激し合える環境を作ることが重要です。目標を全員で共有することで、他のメンバーの進捗や取り組みから学べることも多く、結果的に全体のレベルアップにつながります。
定期的に会議やミーティングを開催し、それぞれの達成状況を報告し合う習慣を作るとよいでしょう。目標に対する意識が高まるだけでなく、チーム内で助け合う雰囲気も醸成されます。
全員が同じ方向を向いて協力し合うことは、営業目標を効率的に達成するための強力な支えになります。個人だけでなくチームとして成長できる仕組みを意識してください。
まとめ
営業目標の設定は、営業活動を効率的かつ成果につなげるために必要不可欠なプロセスです。適切な目標を持つことで、チームの方向性をそろえ、モチベーションを維持しながら成果を積み重ねられます。
本記事では、目標設定の重要性、具体的な立て方、実践しやすい具体例、役立つフレームワーク、そして達成のために意識すべきポイントまでを紹介しました。日々の営業活動をより効果的に進めるために、ぜひ取り入れてみてください。
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