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エンタープライズセールスとは?定義・特徴・進め方を解説

エンタープライズセールスとは?定義・特徴・進め方を解説

エンタープライズセールスとは何でしょうか?

文字通り、エンタープライズ(Enterprize=大企業)を主なターゲットとする営業手法のことを指します。

相手が大企業だけに、初期提案から契約に至るまでの工程は長く、また大変ですが、一旦受注できれば大きな売上げが期待できます。

この記事では、エンタープライズセールスの定義や特徴、進め方などについて詳しく解説します。

1.エンタープライズセールスとは

冒頭に述べたとおり、エンタープライズセールスとは、大企業や公的機関など、大規模な組織をターゲットとして展開する営業手法を指します。

大企業の場合社内に数多くの部署があり、部署単位の成約になるケースが多いです。そのため1部署から導入したのち、複数の部署での受注につながる可能性もあります。

2.エンタープライズセールスとSMB(Small and Medium Business)セールスの違い

SMBセールスは、「中小・中堅企業」向けの営業手法を指します。

SMBセールスの特徴としては、エンタープライズに比べて規模が小さい分、決裁プロセスがシンプルなため導入までのリードタイムが短くなります。

一方、エンタープライズセールスにおける提案内容はSMBセールスと比較すると複雑です。意思決定者を見極めて接触することが困難であることが多いです。また単価が高い分カスタマイズでの対応になるケースも多く、提案において高い付加価値を求められます。

エンタープライズセールスとSMBセールスでは、営業スタイルも大きく異なります。

SMBセールスの場合、提案元企業におけるマーケティング部が獲得してきたリード(見込み客)に対し、架電してアポイントを取るインバウンド型の営業手法が中心となります。

エンタープライズセールスでは、自社で設定したターゲットである大企業に対し、あらゆる手法や手段を駆使してアプローチするアウトバウンド型の営業スタイルが中心になります。

3.エンタープライズセールスのメリットと課題

エンタープライズセールスのメリットと課題について解説します。

大きな売上につながる可能性

大企業(エンタープライズ企業)では、自社内のユーザー数も膨大なため、一旦受注が確定すれば、非常に大きな売上が期待できます。

大企業ゆえに社内稟議は非常に煩雑で時間がかかり、契約後も多数の社員をプロジェクトに巻き込んで運用されます。

このため、一旦どこかと大規模な契約を締結すると、その後簡単に他社へとリプレイスするのが非常に難しいのが通常です。

契約上の縛りなどもあるため、簡単に解約することは、重大な契約上の瑕疵や、運用開始後の大きなトラブルなどがない限り、ほぼありません。

従って、継続的に大規模な売上げが確保可能となります。

複数の成約と安定的な契約

大企業では組織が巨大なため、各部署が独立し、部署ごとに異なる製品やサービスを導入していることも多々あります。

こうした状況に鑑み、各部署がそれぞれ独自に使用しているツール類を一本化する利便性を説き、理解が得られれば、他の部署にも自社商材を横展開することが可能となります。

これに加え、自社が提案する他の商材やサービスを並行して紹介したり、また新商品を提案するチャンスも拡大するため、一社で複数の契約を獲得できるメリットもあります。

このため、提案元企業にとって安定した契約を長期的かつ継続的に確保することが可能となるメリットがあります。

長いリードタイムと複雑なカスタマイズの必要性

大企業では、利用するユーザー数が非常に多いため、一度製品やサービスを導入したら簡単に解約することが困難であり、その分だけ購買プロセスにも慎重を期します。

大企業にはまた、社内に複数の部署が存在するので、単独の部署がある製品やサービスを導入する際に関連する部署まで影響を与えるため、購入を決定する際には担当部署以外の他部署も関与する場合があります。

そして、最終決済に当たっては経営企画部や経理部、また法務部などにも手続き上稟議が必要です。

こうした状況を勘案すれば、自ずと商品購入に関する検討期間(リードタイム)が長くなり、提案元企業の営業担当者にも大きな労力がかかります。 

また、大企業には長い期間をかけて培ってきたビジネスモデルや土台があるため、単独の製品やサービスを導入しても、業務ルールなどを柔軟に変更することが困難です。

このため、大企業ごとに有する独自の業務ルールに製品やサービスを適合させる必要があるので、自社向けのカスタマイズが必須となります。

エンタープライズセールスを展開する上では、こうした複雑な要求に柔軟に対応することが求められる一方、営業を通じて経験する醍醐味や面白さもあります。

解約されにくい信頼関係の構築

エンタープライズセールスは、上述のとおり、一旦受注を獲得したらそう簡単に解約されない大きなメリットがあります。

このため、長期間にわたって受注先企業とコンタクトを重ね、信頼関係を構築できれば、営業担当者自身の大きな成長にもつながります。

エンタープライズセールスには多くの競合他社が存在しますが、その激烈な競争に勝利し、長い検討期間を経て契約を勝ち取れば、契約後も手厚くフォローすることによって一層大きな受注が継続可能となります。

4.エンタープライズセールスを成功させるためのスキル

エンタープライズセールスを成功させるために必要なスキルについて解説します。

情報収集力と分析力

エンタープライズセールスでは、まず最初に有望な営業先(=ターゲット)となる大企業をピックアップし、特定します。

ターゲット企業を定める際には、さまざまな情報収集・分析力が必要となります。

具体的には、当該企業のHPなど公開情報だけではなく、市場での影響度や経営状況、成長度合いや将来的な潜在性、また長期にわたって契約継続が可能かどうかなど、数多くの情報を総合的に収集・分析することがポイントです。

また、無事契約できたとしても、その後も継続して取引先企業の情報を収集・分析し、自社の新商品やサービスの提案へ向けて注力する必要があります。

計画管理能力

既に述べたとおり、エンタープライズセールスでは提案から受注までのリードタイムが非常に長い傾向にあるため、一度の訪問で契約できることはまずありません。

提案先企業の実情や提案プロセスをよく把握し、担当者だけでなくその上司や担当役員、またプロジェクトを共有する他部署なども視野に入れ、丁寧な営業活動を継続することが大切です。

提案先企業の購買プロセスや意思決定権者を正確に把握し、綿密な営業活動計画を立て、その計画をしっかりと管理できる能力が必要です。

商談力とプレゼン力

エンタープライズセールスにおいては、単に商材やサービスの紹介を行うだけではなく、提案先企業が将来得られる効果や当該業種との親和性など、多種多様な側面から提案・営業活動を展開することがポイントとなります。

購買プロセスに関与する数多くの部署や担当者を相手に慎重に商談を進める必要があるため、単純な営業手法では通用せず、商談相手の担当者それぞれに合わせて納得が得られる営業・プレゼン活動を心がけることが重要です。

相手企業の都合に合わせ、場合によっては予算や納期、また運用スケジュールなど、提案の背後にある個別具体的な情報を提示する必要もあります。

競合他社との厳しい競争に打ち勝つには、十分に事前準備をして商談を進め、提案先企業の担当者の心に響く商談力とプレゼン力が求められます。

コミュニケーション力と交渉力

エンタープライズセールスは単純なものではなく、長期戦を前提とするものなので、非常に厳しいイメージが先行しがちですが、SMB営業なども含め、結局は機械ではなく「人」を相手にする仕事です。

このため、対人関係において円滑な関係を築くことが基本なのは言うまでもありません。

ただし、再三述べているとおり、エンタープライズ企業は契約に関連する意思決定者が多岐にわたる場合が多いため、必然的に多くの担当者や責任者とのコミュニケーションが大きなポイントとなります。

常に相手の立場になり、真摯な姿勢で対応し、なんとか提案先企業のためになるような心構えを持って臨める、高度な交渉力も大切な要素となります。

5.エンタープライズセールスの進め方

エンタープライズセールスを効率的に進める方法について解説します。

ABM(アカウントベースドマーケティング)戦略の導入

ABM(Account Based Marketing)とは、ターゲットとする企業を特定し、その企業に最適なアプローチを実行するマーケティング手法を指します。

限られた大企業へのアプローチを目的とするエンタープライズセールスにおいては、ABMの実践が必要不可欠です。

最初の取り組みとしては、SFAやCRMといったDBに蓄積された当該顧客情報や購買履歴を十分に分析し、具体的なターゲットとなりそうな業界や企業、また担当部署などの属性を確定させます。

その後アカウントをセグメント化し、より深い企業情報や財務状況などを多角的に分析し、ターゲット企業を特定します。

インサイドセールスとリファラル戦略の推進

ターゲット企業を特定したら、次に当該企業とのコンタクトを目指す段階へと移行します。

その際に有力となる手法が、BDR(Business Development Representative)と呼ばれるインサイドセールス手法です。

この手法は、アウトバウンド型の新規開拓営業を指し、ターゲット企業に対して主体的・能動的にアプローチするものです。

ABMで特定した企業に対してアクセスするだけでなく、意思決定者や他部署との商談機会を創出し、同時に既存顧客へのアップセルやクロスセルのアプローチを推進します。

そして、このアプローチとともに、リファラル戦略 (Referral Marketing)を推進していきます。

リファラル戦略とは、ある商品やサービスを利用した企業が関連企業などにそれを紹介することにより、当該商品やサービスの価値や評価が拡大することを目的とするマーケティング手法です。

ターゲット企業のバイヤー相関図の作成

ターゲット企業の組織が大きくなれば、それに伴って関連部署や関係者の数も増大します。

ターゲットとする部署が他部署と業務で連携している場合や、購買部門と利用部署が異なる場合も多々あります。

こうした状況下では、購入部門(バイヤー)と実際の利用部署、また利用部署と連携する部署や、更には情報システム部や法務部などの共通部署、また最終意思決定者など、数多くのキーパーソンと接点を持つ必要が生じます。

非常に多岐にわたる関係者が存在するエンタープライズセールスでは、全体として抑えておくべきコンタクトポイントが曖昧になる可能性があります。

こうした状況を避けるため、担当の各部署やキーパーソンの相関図を作成することで、ターゲット企業におけるコンタクト先の全体像を把握することが可能です。

相関図をしっかりと把握することで、効果的・効率的な活動が可能となり、また契約後にも更なる深耕営業が可能となります。

6.エンタープライズセールスを成功させるためのポイント

最後に、エンタープライズセールスを成功させるためのポイントについて解説します。

ターゲット企業との接点作り

自社における過去の受注企業データを分析し、LTVが高いとみられるターゲット企業を抽出します。

ターゲット企業のニーズや傾向を分析することで、効果的・効率的な戦略営業の立案が可能となります。

具体的には、ターゲット企業の担当部署、継続期間、獲得単価などを細かく分析します。

その上で、上述したような効果的な営業手法を駆使し、ターゲット企業との接点作りに注力することがポイントとなります。

競合との差別化

ターゲット企業からの受注を獲得するには、数多く存在する競合他社との差別化を図り、優位性を評価されることが非常に重要となります。

そのために必要となるのが「差別化戦略」です。

差別化戦略とは、自社の強みをアピールすることによって競合優位性を築く手法で、有効な経営戦略として数多くの企業が採用しています。

差別化戦略に加え、「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」も有効な手法とされています。

コストリーダーシップ戦略は、文字通り競合企業よりも安価に商品やサービスを提供することによって競争優位性を確保する手法です。

集中戦略は、ターゲット企業を絞り込むことで投下資源を最小化する手法で、少ない経営資源でも特定の分野で競合企業より優位に立つ手法です。

自社に最適な差別化戦略を立案し、競合他社との厳しい戦いに勝利することが大切です。

DSRツールの活用

ターゲット企業では多くの関係者が交渉相手となるため、商談も複雑で長期化します。

こうした状況下で有効活用できるのがDSRツールです。

DSR(Digital Sales Room)とは、ターゲット顧客と各種情報や営業ツール・コンテンツなどを共同し、効果的・効率的な営業活動を行うことを目的に開発されたオンラインスペースを指します。

DSRでは、提案元企業(売り手)とターゲット企業(買い手)がリアルタイムでチャットや動画メッセージ、資料などを共有することで、オンデマンドでの交流を行うことが可能となります。

DSRの活用によって、契約までの労力を最小化することが期待されます。

7.まとめ|エンタープライズセールスで大手企業との成約を目指そう

エンタープライズセールスの定義や特徴、進め方などについて詳しく解説しました。

エンタープライズセールスは大きな売上と安定的な契約が期待できます。一方、長いリードタイムと複雑なカスタマイズが必要です。

ABM戦略の導入、インサイドセールスとリファラル戦略の推進、バイヤー相関図の作成等を行って推進しながら、DSRなどツールも活用しエンタープライズセールスの成功につなげていきましょう。

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