目次
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功に導くために詳細な計画を策定し、人材や品質、コストなどを管理し、期限内に目標を達成するための統制活動を指します。
具体的には、「いつまでにどの段階まで実施するか」を明確にし、そのスケジュールに基づいてプロジェクトの進行を逆算しながらプロセスを構築していきます。
実際に、プロジェクトを進行する際、複数のチームに分かれて、担当業務やタスクに取り組みますが、各タスクの進行が一つでも遅れると、プロジェクト全体の計画に大きな影響を与えるため、プロジェクトマジメントは極めて重要です。
プロジェクトと定常業務の違い
定常業務とは、繰り返し行うことで毎回同じ結果を生む作業を指します。それに対して、プロジェクトは、普段とは違う、あるいは完全に新しいことに取り組み、「独自性」を持って成果を生み出すものを指します。
具体的に、プロジェクトと定常業務の違いについては、以下のとおりです。
プロジェクト | 定常業務 |
独自性 有期性 変化に対応 流動的 都度策定 不確実性 柔軟性と機動力 | 反復性 継続性 複雑さに対応 固定的 既存 確実性 秩序と一貫性 |
定常業務とプロジェクトには関連性がないように思われますが、定常業務のニーズに応じてプロジェクトが発足しています。
定常業務から切り離されて新たに開始されるプロジェクトですが、プロジェクトが始まった後も、多くの人や資源は定常業務から供給されます。
このように、プロジェクトと定常業務は、常に密接な関係を持ちながら進行しています。
プロジェクトがうまくいかなくなるパターン
プロジェクトがうまくいかなくなる4つのパターンについて説明します。
- 立ち上げ期
- 計画
- 実行
- コントロール
それぞれのパターンについて解説していきます。
立ち上げ期
プロジェクトが順調に進行するかどうかは、立ち上げ期によっても大きく左右されます。
プロジェクトの立ち上げ段階では、要件定義書などの資料を基に、仕様書や提案書を作成して提出します。
この過程で重要となるのは、以下4つの要素です。
- 開発期間
- 予算
- リソース
- リスク
それぞれの要素が妥当であるか、確実に確保できるかを詳細に検討することが重要です。
計画
プロジェクトが失敗してしまうパターンとして、不明確な計画が挙げられます。
プロジェクトを期限内に完了させるためには、リソース管理に余裕を持たせることが求められます。
実際に、優れたプロジェクトマネージャーであっても、プロジェクトの規模や内容によっては計画通りに進めることが難しい場合があるのも事実です。
突発的な変更依頼に対応するためにも、あらかじめリソースを確保し、余裕を持った計画を立てることが重要です。
実行
プロジェクトがうまくいかなくなるパターンとして、実行のフェーズも挙げられます。
計画通りの実行ができるように、各タスクの期限や担当者を明確にして、定期的に進捗状況を確認し、計画からの逸脱を早期に発見・修正することが重要です。
実行がフェーズが遅れてしまうと、遅延や品質低下を招いてしまい、具体的な作業内容やスケジュールが曖昧だと、チームは何をいつまでにやるべきかがわからなくなってしまいます。
実行フェーズでの失敗を避けるためには、定期的なコミュニケーションやリソースの適切な管理、役割と責任の明確化、リスク管理の徹底が不可欠です。
コントロール
プロジェクトを成功させるには、日々の進捗や作業時間をしっかりと管理することが重要です。
メンバーの主観ではなく、実際の工数に基づいて進捗率を計算することが重要です。
また、主観に頼った進捗管理では、実際の進行状況とズレが生じる可能性があるので、計画的に進捗管理を行い、遅れが発生しないようにしましょう。
また、タスクの変更があった際にプロジェクトメンバー全員と情報を共有する仕組みも必要です。
変更管理表などのツールを活用して、情報の共有と管理を効率化することが効果的です。
このように、プロジェクトの管理を確実におこなうことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。
セールスアセット流、営業プロジェクトマネジメント
セールスアセット流の営業プロジェクトマネジメントについては、以下のステップが挙げられます。
- 定義
- デザイン
- 推進
それぞれのステップについて解説していきます。
定義
営業プロジェクトマネジメントの第一ステップとして、定義が挙げられます。
具体的に、定義については、以下があります。
- ゴール設定
- 対象範囲合意
- 利害関係者整理
- 阻害要因整理
それぞれの項目について解説していきます。
ゴール設定
ゴール設定をする際には、ゴールを明確にして、正しく設定できるかがプロジェクト成功の鍵になります。
具体的に、目標設定をする際には、SMART GOALで設定をしましょう。
- Specific(具体的な)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Result-oriented(結果志向な)
- Time-bound(時間内にできる)
目標を「見える化」することにより、ゴールが明確になり、達成への道筋が見えやすくなります。
また、ゴールの合意形成を行う際には、現実的な目標を設定し、期待値を調整することが重要です。
さらに、明確な方針があることで、チームは自発的にアクションを起こし、迅速に実行することができます。
目標達成の進捗を測るための指標(KPI)を設け、具体的な行動計画を策定することで、チームの有効的な動きを引き出すことが可能です。
対象範囲合意
対象範囲合意については、対象範囲を事前に明確にしておくことが重要です。
具体的に、対象範囲を事前に明確にするために、以下の表が挙げられます。

のように、プロジェクトやサービスの範囲を明確にするための重要な指針を示しており、どの業務やシステムが含まれ、どの項目が対象外であるかを明確にしています。
利害関係者整理
利害関係者の整理では、ステークホルダーマップの理解が必要です。
ステークホルダーマップは、プロジェクトやビジネスにおいて重要な役割を果たす利害関係者を整理し、その管理方法を決定するためのツールです。
このマップは、利害関係者の「権力」と「関心度」の2つの軸に基づいて4つのカテゴリーに分類されます。
次に注意するべきコンフリクト(対立)の種類を理解するようにしましょう。
コンフリクト(対立)は、プロジェクトやビジネス環境において避けられないものであり、その種類を理解することは、効果的な対応策を講じるために重要です。
以下に、注意すべき3つの主要なコンフリクトの種類について詳しく説明します。

最後に、 コミュニケーションモデルの理解も重要になります。
Thomas & Kilmannの二重関心モデルに基づくコミュニケーションモデルは、対立や交渉の場面での個人の行動スタイルを理解するための枠組みを提供します。このモデルは、自己主張の度合いと他者理解の度合いの2つの軸を用いて、以下5つの異なるスタイルを分類しています。
- 競争・強制
- 回避
- 妥協
- 服従
- 協働
以上の5つのスタイルを理解することで、状況に応じた適切なコミュニケーション戦略を選択し、対立や交渉の場面で効果的に対応することができます。

このように、利害関係者整理をすることによって、プロジェクトの成功や良好な人間関係の維持が促進されます。
阻害要因整理
阻害要因整理をおこなうには、以下の手順でリスク管理のプロセスをおこないましょう。
- 手順① 認識(Identify):最終目標を脅かす阻害要因を洗い出す
- 手順② 評価(Assess):リスクが顕在化する可能性と影響度で重みづけをする
- 手順③ 計画(Plan):優先度順位の高いリスクから対応策と担当者、期限を決める
- 手順④ 監視(Control):リスクが計画通りに軽減することを随時確認する

次に、リスク管理の整理やリスク評価マトリクスを作成することで、組織はリスクを体系的に管理し、最終目標の達成に向けてリスクの影響を最小限に抑えることができます。
また、リスクに対する対応指針として、以下の表が挙げられます。

上記の対応指針を活用することで、組織は多様なリスクに対して柔軟かつ効果的に対応することができます。
デザイン
営業プロジェクトマネジメントの第二ステップとして、デザインが挙げられます。
具体的に、デザインについては、以下が挙げられます。
- 資源/リソース見積もり
- 組織図編成/採用/体制構築
- ターゲットリスト準備
- 稼働設計/コール完了定義
それぞれの項目について解説していきます。
資源/リソース見積もり
営業プロジェクトマネジメントにおける資源/リソース見積もりは、プロジェクトを成功させるのに、重要な要素といえます。
具体的に、資源/リソース見積もりで重要な要素については、以下があります。
項目 | 内容 |
ターゲット数 | 対象となる人数や顧客数を具体的に定めることで、必要なリソース量が明確になります。 |
予算 | プロジェクトに割り当てられる資金の総額を設定します。予算に基づいて、どのリソースをどの程度投入できるかを決定していきます。 |
期待する効果/目標 | プロジェクトの成功を測るための具体的な成果指標を設定します。例えば、売上の増加率や顧客満足度の向上などが挙げられます。 |
稼働者給与シュミレーション | プロジェクトに携わる人員の給与を計算します。具体的には、基本給・時間外手当・福利厚生などが含まれます。これによって、人的リソースにかかるコストを正確に把握できます。 |
上記の要素を考慮することで、資源やリソースの効率的な配分と管理が可能になります。
組織図編成/採用/体制構築
営業プロジェクトマネジメントの組織図編成や採用、体制構築は、プロジェクトの成功を支えるために重要な要素です。
営業プロジェクトマネジメントの組織図編成は、効率的なプロジェクト遂行のために明確な役割分担とコミュニケーションラインを設定することが重要です。
例えば、プロジェクトマネージャーや営業リーダー、マーケティング担当者など、各メンバーが明確な役割を持ち、連携してプロジェクトを進めることで、効果的な営業プロジェクトマネジメントが可能です。
また、営業プロジェクトマネジメントは、営業とプロジェクト管理の両方のスキルを持つ人物を求める重要なポジションになるので、プロジェクトマネジメントの経験やコミュニケーションスキル、リーダーシップなどを重要視するのをおすすめします。
さらに、体制構築は、営業プロジェクトマネジメントの成功に不可欠であり、プロジェクトの効率性、透明性、安定性を高めるために重要です。
そのため、明確な役割分担と責任、適切な人材の採用、効果的なチーム体制の構築が成功の鍵といえます。
ターゲットリスト準備
ターゲットとなる顧客の特性を明確にするために、以下の要素を考慮しましょう。
- 業種: 特定の業界やセクターに焦点を当てる
- 企業規模: 中小企業、大企業などの規模別にターゲットを絞る
- 所在地: 地理的な位置(国、地域、市)に基づいて絞り込み
- 収益規模: 企業の収益や予算規模を考慮する
ターゲットリストの準備は、営業プロジェクトの成功に不可欠な要素です。
具体的には、詳細な顧客プロファイル作成や信頼できるデータソースの活用が重要になります。
このプロセスを適切に行うことで、営業活動の効率と効果が大幅に向上します。
また、ターゲットリストは作製したら完了ではなくて、継続的に更新し、改善する必要があります。
そのため、新しい情報の追加、既存情報の更新、ターゲットの効果測定などを定期的におこなうようにしましょう。
稼働設計/コール完了定義
営業プロジェクトマネジメントにおける稼働設計とコール完了の定義は、営業活動の効率と効果を高めるために重要な要素です。
稼働設計については、、営業チームが効率的かつ効果的に活動できるように、業務プロセスやスケジュールを計画することで、以下のステップと考慮事項があります。
- ステップ1: 目標設定
- ステップ2: リソース配置
- ステップ3: スケジュール作成
- ステップ4: ツールとテクノロジーの活用
- ステップ5: トレーニングとサポート
また、コール完了の定義は、営業コールが効果的に行われたことを評価するための基準を設けることです。
計画的な稼働設計により、営業チームは効果的に活動でき、明確なコール完了の定義により、営業活動の成果を正確に評価することができます。
推進
営業プロジェクトマネジメントの第三ステップとして、推進が挙げられます。
具体的に、推進については、以下があります。
- 組織運営/マネジメント
- 問題解決
- 意思決定
- 変更管理
それぞれの項目について解説していきます。
組織運営/マネジメント
営業プロジェクトマネジメントの組織運営とマネジメントは、営業チームの効率的な運営とプロジェクトの成功に重要な要素です。
組織運営については、以下の項目が重要になります。
- 目標設定
- 計画立案
- チーム編成
- コミュニケーション
- 実行と監視
- 評価と報告
上記のように、目標達成に向けた計画的かつ効率的な組織運営が求められます。
また、マネジメントの重要性が非常に高く、リソースを効果的に配分することで、無駄を減らし、プロジェクトの安定性を高めることにつながります。
このように、組織構造とマネジメントを適切に管理することで、営業チームの効率と効果を最大化し、プロジェクトの成功する可能性を高めることにもつながります。
問題解決
営業プロジェクトマネジメントにおける問題解決は、プロジェクトのリスクを減らす上で、重要な役割を果たします。
実際に、問題が発生した際に迅速かつ効果的に対応することで、プロジェクトの進行をスムーズに保つことにもつながります。
具体的に、営業プロジェクトマネジメントにおける問題解決は、以下項目のように計画的かつ体系的に行うことが求められます。
- 問題の早期発見と正確な定義
- 実行可能で効果的な解決策の策定
- 綿密な実行とモニタリング
- 結果の評価と学習
上記項目を徹底することで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
意思決定
営業プロジェクトマネジメントにおける意思決定は、組織の営業目標を達成するために重要な役割を果たします。
具体的に、意思決定をおこなうプロセスについては、以下があります。
- 目標設定
- データ収集と分析
- 戦略策定
- リソースの配分
- 実行とモニタリング
- 調整と改善
- 成果の評価
データに基づく意思決定: 感覚や直感ではなく、データに基づいた意思決定が重要です。
また、変化する市場環境に迅速に対応できる柔軟性を持つことが必要です。
これらのプロセスを経て、営業プロジェクトマネジメントにおける効果的な意思決定が行われます。
変更管理
営業プロジェクトマネジメントの変更管理は、プロジェクトの進行中に発生する変更を効果的に管理し、プロジェクトの成功に影響を与えないようにするための重要なプロセスです。
変更管理の主な目的は、以下の要素による影響を最小限に抑えることです。
- プロジェクトの範囲
- スケジュール
- コスト
- 品質
変更管理を適切におこなうことで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
このように、しっかりとした変更管理プロセスを導入することで、営業プロジェクトマネジメントの質を向上させることが可能です。
まとめ
今回は、営業プロジェクトマネジメントについて紹介しました。
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功に導くために詳細な計画を策定し、人材や品質、コストなどを管理し、期限内に目標を達成するための統制活動を指します。
また、セールスアセット流の営業プロジェクトマネジメントについては、以下のステップが挙げられます。
- 定義
- デザイン
- 推進
今回の記事を参考にして、営業プロジェクトマネジメントについて理解を深めてみてください。
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